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9. 安定動作のために(電源関係)

Raspberry Pi Power Supply
Raspberry Pi PSU
RPi PSU


(2016.3.4 作業中)

多くのサイトで紹介されている通り、Raspberry Piの安定動作のために電源系には注意が必要です。
更にRaspberry Pi Model B+以降では入力電圧が4.70付近より低下すると警告を発するようになっています(under-voltage warning)。

RPi under-voltage warning

画面を使用している場合、この低電圧時の警告は画面右上に虹色の四角として表示されます。
警告が発せられても動作はしているようですが、負荷の変動を考えると、警告がでない電源環境を用意すべきです。

消費電流の概算値を紹介しますと、Raspberry Pi 2はUSB Keyboard/Mouse接続、HDMI画面表示、4コアが100%動作(900MHz)時に約750mAの電流を消費します。
更に、Raspberry Pi Model B+やRaspberry Pi 2ではUSBポートで電流制限を解除すると合計1.2Aの電流を供給することができます。
これらの値を全て最大で積算した場合、約2.0Aを流し得る電源を用意する必要があります。

ユーザは、使用するRaspberry Piの世代(モデル)や接続機器の消費電流や動作アプリケーション等の使用環境をよく考慮して、電源を準備する必要があります。

ここでは、市販のACアダプタやUSBケーブルを使用した場合の電流負荷によるRaspberry Piへの供給電圧への影響を紹介します。
計測はRaspberry Pi Model B+リリース以前に行ったもので、RPi-PWR製品(最大電流1.0A)設計時のものです(2014年)。少し古い情報ですが、参考にして下さい。


USB仕様ACアダプタ


I-V Char.-USB

グラフ中のUSB-Bは500mA定格のため、無負荷時は高めの電圧を供給しますが、負荷(通電電流値)が大きくなると急速に低下しています。
定格1.0AのUSB-Dと定格2.0AのUSB-Aは、無負荷時に5.0Vより少し高めの電圧から、負荷を大きくするに従い、緩やかに電圧は低下しています。定格に近い負荷でも5.0V以上を維持しています。
比較的最新型と思われる、定格1.0AのUSB-Eと定格2.0AのUSB-Cは、無負荷時は5.0V付近から始まり、負荷が大きくなると今まで紹介したアダプタと異なり、逆に電圧を上げていることが分かります。これは、携帯電話等の急速充電の普及に伴い、比較的大きな電流値(1.0-2.0A)を通電した場合のケーブルによる電圧降下を相殺する目的でこのような特性を持たせたのではないかと思われます。


DC-Jack仕様ACアダプタ


I-V Char.-DCJ

全て定格2.0Aの3種類のDC-JACK仕様のACアダプタです。
少し古いDCJ-Aは定格表示2.0Aですが、負荷が大きくなると電圧が急速に低下します。更にある程度を超えると4.4V付近で電圧低下は緩やかになるものの、Raspberry Piの稼働に必要十分な電圧を供給することはできず、安定して稼動させることはできないと考えられます。
比較的新しいDCJ-BとDCJ-Cは負荷が大きくなるのに比例して電圧は低下してきます。特に最新のDCJ-Cでは定格2.0Aの80%でも5.0V以上を維持しています。


ケーブルによる電圧降下


Drop

ACアダプタとRaspberry Piを接続するUSBケーブルの電圧降下を調べてみました。
グラフ中のUSB-AはACアダプタの出力電圧です。
USB-A+Cable1はACアダプタに定格2.4AのUSB充電専用ケーブルを接続し、ケーブル端の電圧を計測したものです。
USB-A+Cable2はACアダプタに普通に市販されている一般的なUSBケーブルを接続した場合の計測結果です。

Cable1の電圧降下は低いと考えますが、Cable2は1.0A通電時にケーブルだけで約300mVの電圧降下となっています。


最後に


・ACアダプタは、定格2.0Aの記載があっても定格電流値付近での出力電圧は5.0Vであるとは限りません。電源が不安定であると感じられたら負荷時の電圧を確認するべきだと思われます。
・USBケーブルは、Raspberry Piの使用状況を考え、特に電流負荷が大きくなる場合には、慎重に選定すべきです。 現在は2.0-2.4Aの急速充電用ケーブルが多く市販されるようになっているため、高い負荷が予想される環境では、これらのケーブルを選定すべきだと思われます。