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jp:hdt:thruput

2. データ転送性能

HDD Data Transfer Performance
HDD Data Transfer Rate
HDD Data Throughput


HDDデータ転送性能とは

HDDの性能を現す指標です。 HDDの書込み若しくは読出しアクセスの能力をデータ転送能力(一般的にはMB/secで表示)で表し、グラフ上の縦軸に割当てます。横軸はHDD記録ディスクの論理的な記録位置です。一般的には、HDDの全領域若しくは一部の領域をシーケンシャルにアクセスしながらその記録位置のアクセス性能をプロットしてグラフを作成します。
HDDではディスクの外周と内周では速度差があり、外周の方が性能が高く、外周から内周に向かってアクセスが進行するにつれ、性能は低下します。
HDDデータ転送性能の例




また、経年劣化が進んだHDDや代替セクタの多い個体では、その機種固有のデータ転送性能と異なり、瞬間的な性能低下や特定領域の性能低下などが見られるようになります。


従来の計測装置(計測ツール)で得られたデータ転送性能のグラフ

従来、無料ツールを含め、HDD専用テスタでもHDDの性能をHDDのデータ転送速度で表示する手法が多く用いられていました。
従来の計測ツールでの測定例





上図は2.5“,100GB HDD:HTS72010を従来の計測ツールで計測した例です。

次に、2TBのHDDを例に挙げ、そのグラフを考えてみたいと思います。
グラフの水平軸はディスク記憶領域の論理的な記憶位置を表しており、水平軸を512ポイントと仮定すると1ポイントは2TB HDDでは約40GBに相当します。この40GB領域をアクセスする際に大量のATAコマンドが発行されていますが、従来の計測手法では個々のコマンドに対する応答時間(処理完了時間)は計測されていません。代わりに1ポイント:40GBをアクセスするために要した時間で除算した値を以って転送速度とする場合が多く、この場合は40GBをアクセスする際の平均転送速度と言えます。このため、仮に不調な領域をアクセスして応答時間が長かった場合も、平均化によってその影響は軽微なものとして認識される可能性があります。


HDT-101A/201Aの特徴

HDT-101A/201Aは完全ハードウェアロジックでHDDコントローラ及び計測部が実装されています。計測はリアルタイムに且つ正確に行われ、先の2TB HDDの例で横軸が512ポイントの場合に1ポイント:40GB相当の領域の試験中も転送性能の最大/最小値を常時更新しています。HDT-101A/201Aの計測結果のグラフは縦軸方向は最大-最小値の幅を持ったものとなります。また、HDT-101A/201Aは転送速度を平均化処理しない上、厳密な時間計測に基づく正確な転送性能を計測します。
尚、最小値が最大値より大きく低下している位置は代替セクタや経年劣化によるリトライが起きている可能性が考えられます。
劣化が進んだHDDの特性例


補足

従来の計測ツールでの測定例HDT-101Aでの測定例
上図の左と右は同じHDD(HTS72010, 2.5”,100GB HDD)を計測したグラフです。左は従来の計測ツールでの測定、右はHDT-101Aでの測定結果です。
左図では転送性能(水色のグラフ)が上下に緩やかに変動しながら、内周(グラフの右側)に向かって速度が低下している様子が表示されています。
一方、右図は横軸の1ポイント上でもグラフは上下の幅を持って変動しています。更に、左図と同様に内周に向かって転送性能が低下している様子が観測されています。
両図共にHDDの外周から内周に向かって転送性能は低下している傾向は似ていますが、局所的に見ると左の従来のツールで観測したグラフでは粗く変動しているように見えています。 これに対して、右図のHDT-101Aでは横軸1ポイント1)をアクセスする際の全て2)のATAコマンドの応答時間を基に転送速度の最大値と最小値を横軸にプロットしています。
尚、HDT-101A/201AはSATAコマンドの発行・完了通知の受信、時間計測など計測に関する全ての機能を完全ハードウェアロジックで実装していますので、計測時間の揺らぎはなく、精密3)且つ高い確度の計測を可能としています。

1)
グラフ上の横軸1ポイント:95,396MB÷512=約186MB相当
2)
グラフ上の横軸1ポイントをアクセスするコマンド発行回数:約186MB÷(64Sector*512)=約5,700回
3)
HDT-101Aの時間分解能:1uS
jp/hdt/thruput.txt · 最終更新: 2015/09/05 02:54 by 127.0.0.1