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jp:hdt:nas-2016

8. NAS HDD評価 2016

NAS HDD evaluation report,
with Real-time HDD Tester HDT-201A


はじめに

本評価は(有)オリオスペック様のご協力を得て行ったものです。
評価用NAS HDDのご提供、更に報告会開催(2016.02.13)に関して多大なるご尽力を頂きました。
感謝申し上げます。

(有)オリオスペック様へのリンク

以下に、2016年2月13日にオリオスペック様での報告会の内容を紹介します。


評価したHDD

オリオスペック様からご提供頂いたNAS HDDは以下の5機種です。

 図1.評価したNAS HDD

図1.評価したNAS HDD


  • (a) HDN724030 3.0TB :HGST Deskstar NAS HDD
  • (b) ST3000VN000 3.0TB :Seagate, NAS HDD
  • (c) ST3000VN0001 3.0TB :Seagate, Enterprise NAS HDD
  • (d) WD30EFRX 3.0TB :Western Digital, WD Red HDD
  • (e) WD3001FFSX 3.0TB :Western Digital, WD Red Pro HDD

評価項目と結果概要

本評価に際しては、リアルタイムHDDテスター:HDT-201Aを使用して計測を実施しました。
Test View

図2.HDT-201Aを用いたテストの様子


評価項目は以下の3項目です。

  1. Read/Write 性能の計測結果
  2. 全領域応答時間分布特性
  3. 高速モード応答時間分布特性


1. Read/Write 性能の計測結果
Read/Write Performance

図3.Read/Write 性能


  • 最外周域で最も高性能:
    • (c)Seagate Enterprise NAS HDD:225MB/Sec
  • 最内周域でも100MB/Secを超える性能を維持
    • (c)Seagate Enterprise NAS HDD
    • (e)Western Digital WD Red Pro HDD の2機種
  • 同一メーカーでのハイエンド版NAS HDDと通常NAS HDDの比較
    • Seagate製品とWestern Digital製品
    • 共にハイエンド版NAS HDDの方がより高いRead/Write性能(性能差は20-40MB/Sec程度)


2. 全領域応答時間分布特性の計測結果
Profile - FullScan

図4. 全領域応答時間分布特性


  • HGST Deskstar NAS HDD
    • Read/Write共に10mS以内の応答時間
    • 今回評価した中で最も応答時間分布特性が良いNAS HDD.
  • Seagate 通常NAS、及びEnterprise NAS HDD
    • 20mSを超えて90mS付近まで分布
    • Seagate2機種ではEnterprise NAS HDDの方が良好な特性
  • Western Digital NAS HDD
    • WD Red Pro HDDでは20mSを超える応答はほとんどない.
    • WD Redは、20mS~140mS程度まで、若干の応答時間の分布
    • Western Digital2機種では、WD Red Pro HDDの方がより良好な特性

3. 応答時間分布特性(高速モード)の計測結果
Profile - QuickScan

図5.高速モード応答時間分布特性


  • フルスキャンでの計測はヘッドシークが最小限であるシーケンシャルアクセスのテスト.
  • 高速モードでの計測は、ヘッドシークを伴うテスト.
  • 今回の評価では、前述のシーケンシャルアクセス時の応答時間分布特性の傾向を踏襲.
  • これは、全てのHDDが新品と言うこともあり、シーク動作が性能低下につながる様なHDDはなかったと言える.

評価のまとめ

評価したNAS HDD:5機種と評価結果を表にまとめてみました。
NAS HDD Eval. Summary

表1.NAS HDD評価のまとめ



付録

以下、2015年2月13日のNAS HDD評価報告会で紹介したHDD関連のトピックです。

A1. Seagate Enterprise NAS HDDの低温起動時の挙動

Seagate, Enterprise NAS HDD:ST3000VN0001を評価している際に、起動時の環境温度が低い場合(室内温度:約10℃以下の場合)、電源投入直後の約10分程度の期間、速度が低下していることが分かった。

Seagate NAS Low-Temp.

図A1.Seagete NAS低温起動時の挙動


上記の例では、橙色のグラフ:Read時の性能が低下しているが、これはRead動作試験を行った後にWrite動作試験を行ったためで、Write動作試験を先に行った場合は、青色:Write時の性能が低下する。

オリオスペック様からHDDメーカーに確認してもらったところ、TCLPM (Temperature Controlled Low Power Mode) と呼ばれる低温時にはシークロスを低減させるための機能を有しており、TCLPM動作中はシーク性能が低下することが分かった。尚、この機能は、温度閾値:10℃以下で動作するとのこと。


A2. 振動の影響

近年のHDDは高密度化が進んでおり、従来のHDDでは問題にならなかったようなHDD自体の振動でも自身の性能に影響を与えている模様。
以下の事例は、振動対策の有無により転送性能と応答時間分布性能に表れる影響を紹介。

Vibration Effect

図A2.振動の影響


振動対策を施していない左側のグラフは、対策を施した右側と比較して、青色のグラフ:Write時の性能が劣化していることが確認できる。 これはWrite時はRead時と比べて、より正確な位置決めを行っているのではと推察される。
この事例はWestern Digitalのデスクトップ仕様3.0TB HDDであるが、Seagate デスクトップ仕様 HDDでも同様の結果を得ている。

Enterprise NAS HDDでは振動対策機能を有したNAS HDDがリリースされているが、現時点ではその効果を評価していない。今後機会があれば調査してみたい。

HDD本来の性能を十全に発揮させるために、適切な振動対策を施すことが重要になってきたと考えられる。


A3. NAS HDDと標準HDDの比較, Western Digital

Western Digital社から提供されている、標準デスクトップHDD:Green、NAS HDD:Red、ハイエンドNAS HDD:Red Proの3製品を比較してみた。

Western Digital HDDs

図A3.WD各種HDDの比較



A4. NAS HDDと標準HDDの比較, Seagate

Seagate社から提供されている、標準デスクトップHDD、NAS HDD、Enterprise NAS HDDの3製品を比較してみた。

Seagate HDDs

図A4. Seagate各種HDDの比較



A5. SSDの性能 Transcend TS128GSSD370

Transcend社SSD製品:TS128GSSD370をリアルタイムHDDテスターで性能を計測してみた。
参考例として紹介する。

Western Digital

図A5.SSD性能


通常は、275MB/Sec程度得られているRead性能だが、電源投入直後は約半分程度の性能しか出ていないことが分かる。
通常時はReadの場合、極めて安定した性能が得られているが、Writeの場合にはWear Levelingの影響ではないかと思われる若干の速度低下が見受けられる。


資料

NAS HDD報告会・配布資料 ((有)オリオスペック様イベントスペースにて 2016.02.13)
NAS HDD性能評価・レポート (協力:(有)オリオスペック様)

jp/hdt/nas-2016.txt · 最終更新: 2023/12/29 15:09 by wiki_editor